言わせてもらえば |
ジャンルを変える特権。 |
「音楽にジャンルなどはない」という評論家がいて、それはそれでごもっともなんだけど、実際に演奏の現場に立ってみると、ジャンルとはガンとして存在するものだ。 事態は演奏する「店」の営業に関わっていることなので、無視もできない。ジャズの店に来る客はジャズを聞くことを期待してくるのであり、その予想範囲の中にある音楽しかその店で受け入れてもらうのは難しい。 いま私はブルースからラテンに「ジャンル」を変えつつあるその途上にいるのだが、たったこれくらいの「変化」でもなかなか大変なんだ。 音楽のノリが変ったりやる曲が変ったりするのは覚悟のうえだし、それはむしろ新鮮で目新しくて気持ちいいくらいのことだけれども、マネージメント的なことではいろいろ課題にぶつかる。 ジャンルが変ると、まず「知り合いの数」が激減する。メンバーを集めるにも対バン(共演バンド)を見つけるのにも苦労する。出演する店も新たに自己紹介から始めることになる。ジャンルが違うと業界が違うようで、まったく顔が利かない。「新入り」状態となる。 一方で、お客さんはいままでのバンドへの印象を持って来られるわけだから、そのイメージを裏切ったり塗り替えたりする愉しみはある。それが受け入れられるかどうかは賭けだろうけど。 まとめていえば「アマチュアだから気楽にジャンル変更ができるんだ」ということで、もし商売でやっていたらもっとオソロシイ思いをするだろう。演奏ジャンルを変えられるのはアマの特権だな、と思ってぼちぼち準備をすすめているところだ。 もすこし先のことになるが、そのうちにラテンバンドとしてご案内できる日もあるだろう。そのときにはぜひ「ジャンルを変えたふじうら」を聴いていただきたいものだと、これはお願いする次第であります。 (2003年8月27日) |
c 1999 Keiichiro Fujiura |
表紙 |
黄年の主張 |
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