言わせてもらえば |
50代はラテンで行こう。 |
FGODを活動停止して、何をしているかというと、もっぱらラテンに気持ちが向いている。キューバに行ったこともその大きな原因だろう。大掛かりなサルサバンドもいいが、5〜6人のソンのバンドがこれまた良い。ハバナの町は音楽に溢れていて、それがほとんど生バンドだったので、幸せそのものだった。 生バンドの音はあまり大きくないので、その場を離れるとだんだん音が遠くなっていき、角を曲がるとまた別のバンドの音が聞えてくるといった具合で、夜毎にハシゴしていて、こんな幸福な町も珍しい。 大きなウッドベースをケースにも入れずに担いで仕事場へ歩いてゆくベースマンの姿が、夕方には一人や二人でなく見受けられた。 まあそんなわけで、「ああいう音楽がやれたらいいなあ」と思いながら、ぼちぼちとラテンベースの練習をしている。 たまに他のジャンルをやっている知り合いを集めて音合わせをやってみる。まだディスカルガ(ジャムセッション)という状態にはならず、基本リズムの練習になるのだが、それでも楽しい。リズムは不慣れだし、語法もよくわからないし、なにより歌はスペイン語なのであれこれ苦労も多いのだけど、やっていて楽しい音楽だ。 片方で、サルサもはじめた。凝り性なので、多い月には14日も踊った。これくらい踊ると身体が疲れて、家に帰ってもなにもできなくなる。スペイン語の勉強をしなければと思うのだが、本を開くとすぐ眠くなる。「勉強と部活の両立」なんていう中学生のテーマみたいなことを思い出す日々だ。 毎日踊っていると、難しいことを考えにくい身体になるようだ。いくぶんラテンな人に近づいているのかもしれない。あと数ヶ月で50歳の誕生日を迎える。去年の正月には「ヤバンで行こう」と思っていたのだが、目下それがラテンに向かっているようだ。「50代はラテンで行こう。」という気分なんである。 (2003年8月1日) |
c 1999 Keiichiro Fujiura |
表紙 |
黄年の主張 |
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