言わせてもらえば |
銀行の広告は世慣れてないなあ。 |
銀行はサラ金より社会的地位も高いし紳士的だというのが社会通念のようだが、サラリーローンの広告になるととたんに下品になる。とくに気になるのが東京三菱のキャッシュワンだ。 カトちゃんの愛嬌でかなり救っているけれど、あの「たまにはババンと」というシリーズはどうも気持が悪い。例えば「鮨屋」篇で、女性は男性を呼び捨てにしている。そのこと自体はかまわない。しかし、だったら奢ってもらうなよ。と思うのは私だけだろうか。 呼び捨てにするのは同権あるいは自分が上位にあるってことだろう。しかも相手に払わせているくせに、「たまにはババンと」(もっと高いものを注文しろ)と言う。 そんなことのためにババンと借金しろ、というこのメッセージは、内容も表現もすごく下品だと思う。片方では「りそな銀行が事実上破綻して国民の税金でそれを補わされている」現状で、こういう「貸しさえすればいい」という姿勢を業界の盟主が持ってていいんだろうか。 こんな無計画な消費行動をする客に簡単に金を貸して、個人倒産でもされて貸し倒れ/不良債権になったら、また税金で埋めるというのだろうか。真面目に働いて資金繰りに苦しんでいる企業には貸し渋りをするくせに、こんな馬鹿な遣い方にはババンと金を貸すという神経は納得できない。 サラ金の広告は、欲望はそそっておいても、その直前で身をかわす「寸止め」の感覚を持っている。銀行のサラリーローン広告は寸止めできず、中身が見え透いちゃってるものが多い。まったく「世慣れてないなあ」という感じだ。 接待にノーパンしゃぶしゃぶを使うような感覚と似ているかもしれない。そういうのを遊び慣れた人とは言わない。単に「身も蓋もない」だけだ。 それともうひとつ。本体の東京三菱銀行のCMだが、男がぴょんぴょん跳ねているやつがあるでしょう。音楽はプリーズ・プリーズ・ミーが流れているCM。 このぴょんぴょん跳ねは、「スモール・タウン・ガール」という映画でボビー・バンが踊ったナンバー「テイク・ミー・トゥ・ブロードウェイ」そのまんまなのだ。パ ロディでもなんでもない。モロパクなのである。こういうCMを作ったスタッフも、それにOKを出した東京三菱銀行の宣伝部も恥ずかしくないんだろうか。盗作にしか見えないんだけど。 (2003年5月25日) |
c 1999 Keiichiro Fujiura |
表紙 |
黄年の主張 |
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