言わせてもらえば
曖昧な仲良しは、危険である。


村山富市という人は北朝鮮でなにをしてきたのだろう。ちゃんとした議論をしたのだろうか。共同発表を読んでも「国交を正常化しよう」「人道を尊重しよう」という誰にも文句の言えない目標は提示されているが、それが具体的にどういうことを差すかはちっともわからない。

彼は「北朝鮮は困っており、心を痛めている」という、もっぱらヒューマニズム発言をしており、その原因について論及することなく「大震災と同じように」物資を配布することで解決しようとしているようだ。

論理なき「曖昧な同調路線」は危険だ。表面上仲良ししていればいいというものではない。「仲良きことは美しき哉」「和をもって貴しと為す」という日本的仲良し主義で外交に臨むのは有害である。

社会党が政権を取ったときに党の論理を崩壊させ、日本における二大政党による政治運営の可能性をつぶしたのがこの元首相だ。社会党がすべての矛盾を丸く治める必要はなかったのである。ひとつの問題に対しそれぞれの政党が別の答えを主張し、その是非を国民に問うことが必要だったのだ。

その結果、日本の政治がますます希望を亡くしたではないか。論理を韜晦して人に好かれようとする政治家ほど始末に終えぬものはない。お互いの主張に合意点が見出せず共同宣言できなかったWTOのほうが、はるかに健全な感覚だと思う。


(1999年12月06日)





c 1999 Keiichiro Fujiura

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