ホテルに戻り、夕食を食べる。食事は一階の食堂だ。立派な調度品がある。白く塗られた天井は高く、重そうなカーテンが下がっている。つまり昔風の高級な晩餐室だ。ただし大テーブルではなく、6人掛けくらいのテーブルが間隔を置いて並んでいる。 |
そこへ一人で座る。ボーイがメニューを持ってくる。なんだこれは。むちゃくちゃ安いぞ。 あまり腹も減っていなかったので、ビーフンを一皿頼む。丸い蓋のついた銀の食器をボーイが運んでくる。それを私の前の銀の皿についでくれる。全部はつがない。ボーイはそのまま私の傍に立って、私が皿のビーフンを食べ終わるのを待ってお代りをつぐのである。 ボーイがつきっきりで、これが2ドルだ。 |
ここのメニューは全部ドルで記載されていたが、ほとんどが2ドルだった。 |
部屋に帰ろうと廊下を歩くと、座っていたボーイたちが立ち上がって礼をする。返事には必ず「sir」が付く。ここは英国流を叩き込まれた現役の植民地のようである。 |
少しくたびれていたので、夜中に独り言をいって自分を鼓舞する。一種の強制ポジティブシンキングである。 この旅行自体誰に頼まれて来たわけでもない。うまくやろうとか思う必要はない。一日ぼーっとして何もしなくてもいいんだ。不安になってきた金だって、後でなんとでもなる。とにかく好きなことだけやればいいのだ。 |
冷蔵庫のビールを飲んでしまったので、夜の12時頃Tiger Beerを2本持ってきてもらう。1本2ドル。 |
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