Yangon
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夕闇のシェダゴンパゴダへ行く。
途中、軍の検問に会って回り道をする。

一度ホテルに帰り、フロントにあった観光パンフを見る。取り消したマンダレー往復の航空券は158ドル、もしチャットで払うなら1ドル=280Kの計算になるという。なにい。さっきの両替1ドル=220Kとはずいぶん違うじゃないか。

ここからは1チャット=0.4円で計算することにする。ビールと酢豚で160円に対し、マッサージと爪切りが800円だったことになる。やっぱり少しボラれたかな。


観光パンフに小さな地図が付いていた。Shedagon Pagodaというパゴダがこの近くにあるらしい。方向は町とは反対側である。距離にして1キロ半くらい。ちょうどいい散歩になるだろう。

だんだん夕闇が近づいてくる。暗くなりかけた道を歩いていくと、道路を検問がふさいでいた。

なんだ?

銃を持った制服の男たちがいる。「軍」だ。言葉は通じないが、「この道は通れない。曲がれ」と指で示す。道路封鎖をしているらしい。しかたがないので回り道をする。


夜のパゴダ
どうやらその一角が軍の施設らしく、夜は周辺を封鎖しているようだ。

大きな敷地を回り込むように歩いていく。洗濯物が干してあったり暗い道だったりして不安だが、いくつかの角を曲がったあたりでなんとかパゴダが見えてきた。

小山の頂上にパゴダが立っている。小山の裾から頂上まで金色の伽藍が続いている。建物の中に東西南北に四つの階段があり、入口に靴を置いて裸足で登っていく。階段の途中には仏像や仏画や経本や風鈴を売る店が並んでいる。まァ、成田山である。

ネオン仕掛けの仏像 しかし現役の信仰の対象だから迫力はある。暗闇にうずくまって祈る人々がいる。

おもしろいのは仏像の後ろにネオンサインが付いてちかちかしている。よく仏像の後ろには炎のようなものが付いているが、あれが電気仕掛けになっているのだ。たぶん背後のオーラ(正確にはなんていうか知らないが)を表現しているのだろう。私などが見ると妙にチープで怪しい色なのだが、それに向かって真剣に拝んでいる。


夜のパゴダ
黄金の巨大なパゴダはライトアップされて夜空にそびえている。

民衆はあんなに貧しく仏寺はこれほどに荘厳だ。この金を分け与えれば皆の暮しがもう少し良くなるのではないのか。

それも宗教を理解しないものの発想なのだろうか。

パゴダ自体は山の頂上にあって、そこが広場になっている。四隅の階段はこの広場に向かう参道ということになる。

夜なので頂上の人も少ない。観光客ではなく現地の信者が夜参りに来ている。


夜の参道
間違えて、別の階段を途中まで降りてしまった。ここを降りても靴がないことを思い出して、最初の階段に戻る。

考えたら靴を持って上がれば良かったのだが、袋のようなものは用意されていないので思い付かなかった。だいいち四方に階段があることは頂上に着いてはじめて知ったのである。

階段を降りるとタクシーがいた。参拝客のなかでも遠方の人はこれに乗って帰るのだろう。もうあたりは暗闇なので乗って帰る。ホテルまで150K(60円)。メーターはないが、まあ「相場だろう」という感じ。

クルマは右側通行だ。これは英国支配のなごりだろう。世界の大勢は右側らしいが、日本も含めて東南アジアには「クルマは左側通行」の国が多い。これまでの国で右側だったのはフィリピンだけ。勝手な言い草だが、支配の記憶が色濃く残っている国が右側通行のように感じる。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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