Chiang Rai
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国境橋を渡ってミャンマー側に入る。
ほぼ2時間ほどの、短い入国だ。


メーサイの国境検問
橋のたもとに検問があってそこがイミグレーションになっている。自動車はちょう ど高速道路の料金徴収所のようなゲートをくぐる。ひとは事務所のこちらのドアか ら入って向こうのドアから出るような具合になっている。

事務手数料はタイ側は50B(150円)なのにミャンマー側は5USドル(600 円)。つ くづく外貨を欲しがる国である。

入国管理風景 通常、外国人は一日だけの入国証明書をもらってそれをタイ側に返す、と聞いてい たのだが、パスポートを見せたら通常の入国スタンプで処理された。「係員が間違 えたのか?」とそのときは思ったのだが、よく考えたらこれは私がミャンマーの入 国ビザを持っていたせいだった。

というわけで私のパスポートには「メーサイからタチレイクへ入国した」というス タンプが押された。チェンライに戻ってタカシにそれを見せたら「いいなァ」と心 から羨ましそうな顔をした。バックパッカー精神を刺激するなにかがあったらしい 。底が浅いようだが、こういうのはとてもうれしいものだ。


さて、ミャンマーの町タチレイクに入ってみると、驚くほど物資が豊富である。ど うやらここはタイから物を持ち込んで売りさばく市場のような町らしくコンクリー トの建物にタイ製の扇風機や冷蔵庫など家電が並んでいる。

とはいっても「山積み」というわけではなく、それなりに高価な商品らしい。日本 にも「3C時代」といって、クーラー、カラーテレビ、カーが豊かな生活のシンボル だった時代があったが、あれよりも少しだけ前の感じだ。

驚いたことに、通りを歩いていると「煙草を買わないか」と洋モクをカートンで売ろ うとする売人がたくさんいる。なにが「ミャンマーでは煙草が不足している」だ。 ドンさんのころとは時代が大きく変わったことがこれだけでもわかる。

これはネギではなくて孔雀の羽根 露店の台の上に植物の茎のような緑色をした長いものがたくさん重ねられているの で、最初は「ネギかな」と思って近付いてみたら、これが孔雀の羽根だったのでち ょっと驚く。埃だらけの路上の、産直の野菜屋のような屋台に、あまりにもたくさ ん無造作に重ねられていた。


タチレイクの町はほんとうに狭く、その狭い町はほとんどが店で、残りは商人宿だ った。鋪装されていない土の道を軽トラックがひっきりなしに行き来している。ミ ャンマーの目はしの効く商人はこの町との往復でひと稼ぎするのだろう。


タチレイクにはトラックが多い

話によるとミャンマーの反政府ゲリラにとって煙草は重要な財源になっているよう で、ラベルの横流しがとか、偽物の煙草カートンとか、いろいろな噂があるようだ。タイ北部は煙草の産地であり、国際メーカーの工場もある。そこの品がミャンマーゲリラに流れているらしい。ふと、バンコク空港の免税店とマルボロが揉めていたことを思い出す。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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