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海に向かって木の桟橋が長く延びている。いまは引き潮なのか、船ははるか下にある。桟橋から海面まで2メートルはあるだろう。桟橋が空中、高いところを通っている。 |
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陸地から桟橋に渡るところに酒場があった。看板に「End of the World」(世界の果て)と書いてある。「この店は日本人に人気があるぞ」ああ、そうだろうな。雰囲気がある。きっと魚も美味いんだろう。 |
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ジャマルディンは知り合いらしい船頭と握手をしている。この男の舟に乗るのだ。 一行は桟橋を歩いて舟に向かう。私は荷物を持ったままなので、細い桟橋の上で少し安定が取りにくい。パスポートを持ったまま海水浴に行くというのも初めての体験である。 ようやく舟のところまで行って荷物を降ろす。舟の上に立って上に手を伸ばして受け取るほど、海面は低い。梯子を伝って二階から降りるようにして舟に乗る。 |
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走り出せば快速だ。船長以外ビールを飲みながら飛沫(しぶき)を浴びていく。思ったほど澄んだ海ではない。やや重い紺緑色。天候のせいもあるのだろうが、南国の色ではない。 |
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いくつかの小島を過ぎていく。 「こないだ日本の女と来た。海のなかで肩車をしてやった」 まったく。初めて会った男に水着で肩車させるなよなー。なんで外国人相手だとこう開放的になっちゃうんだろう。 |
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Let's go to the MONKEY BEACH ! |
目指す島はそう遠くなかった。ジェラシックパークに出てきたような美しいビーチだ。しかも私たちの貸切りである。船長は7時にまた来るというので、それまでダラダラする。 砂は細かく、水も透明だ。小貝が多く、手のひらを砂に入れて持ち上げるだけで、砂を振り落とすと手のひらに貝が残る。 |
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ジャマルディンは給料2,500RM(89,250円)。運転手のかたわら、バイトでMayBankのモデルをしているらしい。女の子が一人と双子の男の子、3人の子供がいるという。 「ここはモンキービーチと呼ばれているんだ」 「猿がいるのか」 「ノー モンキー、ウィー モンキー(猿はいない、俺たちが猿だ)」 ジャマルディンは猿のまねをしてふざけた。そういえばなんだかターザンみたいな奴だった。 |
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しばらく経つとビーチの遠くのほうにもう一組やってきた。 ジャマルディンは案外マメで、ゴミを拾い集めたり、むこうのグループに挨拶しに行ったり、「2時間で350RM(12,495円)だって」とそのチャーター代を情報収集したりしてくる。 一方アジノモトはどてーっと砂浜に寝転んでいてなにもしない。いいコンビである。 |
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