ButterWorth
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行く場所はペナンであった。
しかもどうやら穴場のビーチへ行くらしい。

泳ぎに行くというのは、ペナン島に行くのであった。バターワースがペナンへの乗り継ぎ駅であることをこのとき初めて知った。

「へー、そうだったのか」

バターワースからペナンへは対岸の「ジョージタウン」までフェリーに乗るのである。かなり大きいフェリーだ。客室はひとつだけで、体育館くらいの大きさがある。海面は凪(なぎ)なのでまったく揺れもない。

私のメモには「渡し賃は60RM(2142円)」と残っているが、これはどうも高すぎる。突然の展開にバタバタしてなにか間違えたのだろう。ひょっとしたら60セント(21円)かもしれない。

ところで、このフェリーは「行きだけ有料」なのであった。往復料金とはちょっと違って「行きは2倍/帰りは無料」だ。このほうが手間が半分ですんで合理的かもしれない。


ジョージタウンの船着場は熱海駅くらいある立派なもので、リゾートの入口なので雰囲気も似ていた。「駅前」はかなり混んでいる。
「まずは金を取りに銀行に行こう」
今日は土曜日なので、急いで行かないと閉まってしまうとタクシーを捜すが、混んでいてなかなか見つからない。ようやく一台つかまえてジャマルディーンが行き先を告げる。

ダウンタウンのような混んだ町中にタクシーは入っていく。ようやく銀行から出てきたジャマルディンはこんどは別の場所を指示する。
「どこへ行くんだ?」
「トトだ」
トトというのはナンバー宝くじ(ロト)の一種らしい。ジャマルディンは20枚ほどのトトを持ってタクシーに帰ってきた。
「さあ行こう」



When the train arrived at Butterworth Station the pilots invited me . "We are goin' to swim, why not join us ?" That sounds good. I have no plan to do in this town. I went out with them.
ようやくタクシーは海岸通りへ向かった。島をぐるりと回って裏のほうへ行くらしい。途中高級リゾートホテルのある海岸などもあるのだが、ふたりは目もくれない。「もっと先だ」という。どうやら地元の人たちが泳ぎに行く穴場があるらしい。

途中で海の家のような小さな店に入り、弁当を買う。例のエビご飯やカレー煮込みを買ってビニール袋に入れてもらう。金を出そうとしたら「いいよいいよ」とジャマルディンが払ってくれた。

細長く、高い桟橋 さらに奥まった道路を進み、ようやく目的地に着いた。漁港である。ようやくわかった。ペナン島のビーチではなく、どこか小島に行こうとしているのだ。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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