
ラジオ体操
町内の掲示板に「ラジオ体操」の貼り紙があった。
そんなもの珍しくもないと読んでみたところ案外そうでもない。ラジオ体操が代々木公園から全国中継されるというのである。子供の頃人並みにラジオ体操に行った経験はあるけれど「生」は見たことがない。よい機会なのでライブを見にいくことにした。
7月20日午前5時30分。代々木公園B地区 野外音楽堂前に、すでに3000人を超える人が集まっていた。大半が爺婆だ。放送は6時半からなのだが、渋谷区長の挨拶があったり、拍手のリハをしたり、そのために1時間前から集合している。
お揃いのTシャツを着ている老人が多いのは、各地区のラジオ体操の会なのだろう。皆が前に行きたがって、ちゃんと列を作ってもあとから割りこんでくるから体操をしていても手がぴしぴしぶつかる。私の骨が折れることはないと思うが相手は老人の骨だからなあと、加減しながら手を振り回す。バーゲン会場で体操しているようで、なかなか気を使う運動であった。
いわゆる「夏の巡回」がこの日から始まるということで、舞台に置かれたアップライトの前のピアニストはかなり緊張していた。待っている間も「なにか弾いて雰囲気を和ませて、、」なんて余裕はなく、ひたすら指をころころ回す練習をしていた。まあ生放送だし、間違えたらすぐわかるから緊張するのも無理はない。
全員にお土産が出た。その中に入っていたビニールシートは代々木公園のホームレスに、お茶のペットボトルは野宿していた外国人にやって家まで歩いて帰り、早起きして眠いからビールを飲んでまた寝てしまった。
(2002年7月23日)
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