ヲサム旅日記
7日目
その2
サラタビ第10章:第7日目 その2。ブータン、パロ
「アジがあって面白い」としか
言いようがない、ブータンの石風呂。
ホテルに戻る。時間は4時半。石風呂に入りに行くのは5時半。少し時間がある。ホテルでシャワーでも浴びようかとも思ったが、せっかくだからやめにして、ホテルの周りを一人で散歩することにした。途中、草むらでサッカーをしている少年達と出会う。
御世辞にもイイカッコはしてないし、鼻水もたれている。全くの偏見であるがアジアのガキなのである。好きだなぁ、こんなガキ。愛着がわいたのでサッカーに交ぜてもらった。勿論、言葉は通じない。でもサッカーして、遊んでいると皆笑っている。こっちも楽しくなってきた。
そういえば、どっかで誰かが言ってた気がする、「言葉はいらない、ボールがあれば・・・」。でも言葉が通じればもっと楽しいのだろうにな、と思う。
しばらくこのガキどもと遊んだ後、ホテルに戻る。そろそろ時間だ。帰り道の途中、陶芸家のようなフジウラさんと出会う。そう言えば、何も言わずに出てきてしまった。心配かけたかな?
これから近くの地元の農家まで出かけていき、そこで、石風呂を経験させてもらい、かつ食事までご馳走になるという。ご一緒していたコバヤシ夫妻は元々、日本の旅行代理店にこの体験を依頼していたそうである。どうもそれに乗っからせていただいた形である。我々は元々そんな御願いはしていなかったので・・。貴重な体験ができるので改めてコバヤシ夫妻に感謝である。
でも、そういえばオオヒラさんはブータンに来て最初の方に農家に遊びに行ったと言っていた事を思いだした。という事はこういった現地の家庭訪問みたいなツアーも以前からあり、人気なのであろう。
ホテルから車に乗る事数10分。車をとめて、少し歩くという。途中、川がが目前に現れ、つり橋を渡る。それからは川沿いの小道をのんびり遊びながら歩く。
途中、コバヤシ夫妻のガイドであるドルジがくれたカミタバコを皆で試してみた。が、すごく味が悪く、申し訳なかったがすぐに吐き出した。とても口に入れるものではなかった・・・。皆でマズイマズイと連呼。
ブータンの人はこのカミタバコを口にするらしいが、若者にはその習慣がなくなりつつあるようである。
そういって遊びながら歩く事数分。目的地の農家のご自宅に到着した。家の中から子供の顔が見える。ここの子供さんのようだ。
家の中に通されると2階の部屋へ通された。
赤い絨毯にマットレスのようなもので高座が作ってありそこに招かれた。
するとすぐに3つのざるが持ってこられた。これらはブータンでいうところのスナックだそうで来客用だそうである。手前から時計回りにゲサップ(ひしゃげとうもろこし)、シップ(ひしゃげ米)、奥にザウ(煎り米)と言うそうである。個人的にはゲサップがほんのり甘くてそこそこおいしかったが、まあ、鳥のエサって感じ。でも、こっちがポリポリ食べていると子供が羨ましそうな目で見るので、少しあげると喜んで食べていた。
来客用という事だからイメージとしては来客用の高級羊羹って感じなのだろうか。言い過ぎだな、ホントエサっぽかったし。
その際、改めてここの主人と挨拶。残念ながらご主人の名前を忘れてしまい、申し訳ないのだが、人のよさそうな方だった。
子供の中心にいる方がご主人なのだが、地元の有志って感じでご本人も実はガイドをやっているそうである。それを聞いて少し納得したのだが、この「農家ご訪問」もしっかりとした営業であり、やっぱり観光ルートの一つなのであろう、全てができあがっている・・・・。
しばらくすると、例の石風呂に誘われた。ブータンスタイルでは年齢順という事なので、我々の最年長メンバーであるフジウラさんがトップバッターで石風呂に向かった。この辺は昔の日本と同じである。ってことはいずれはその順番も年長者は後になって、子供達が先になっていくのだろうか、お父さんの後はイヤだぁとか言って…。実際、昨日のクラブの若い子達を見た後だけにその時も早い気もする…。
さて、フジウラさんが帰ってきた。感想を聞くと、「あじ」があって面白かったという。とはいえ、そんなに面白そうなお顔ではない。
まっ、何はともあれ自分で体験することが一番なので石風呂に向かった。本来ならばコバヤシ夫妻の順番だったが、奥さんがいらっしゃったので、先に入らせていただいた。暗闇の中をご主人に連れられ石風呂に。湯船の前では焚き火が行われてる。
この石風呂を簡単に説明すると、その前の焚き火で焼かれたそこそこ大きな石を単に水の張ったお風呂にぶち込むというもの。石風呂と言うと湯船が石製のような感じがするがこのお宅のお風呂は木製。焼いた石を入れるから、石風呂。そんな石風呂も伝統的とは言うものの、地元の人はそんな頻繁には入らないみたいだ。
そんな事もあり、暗くてよくわからなかったが、お湯というか水はそんなにきれいなものではなかったと思う…。
ワタクシが入った時には二人目だったのでそこそこ暖かかったのだが、いよいよ石をいれるという。石風呂にとってはこれが最大のパフォーマンス。危ないから体を端に寄せろと言う、そして二人がかりでワタクシが入っているお風呂に焼かれた石をドボンと入れた。一瞬にして泡がブクブクと発生し、お湯が耐えられないくらいの熱さになった。ホントこれが熱い!!慌てて、水を入れてくれるようリクエストしたが、主人はこっちが慌てているのを面白がって中々水を入れてくれなかった。恐ろしく熱い。水をやっと足してくれた。イヤ、参った。
早々に石風呂を後にした。戻るなり、コバヤシ夫妻に感想を聞かれたが、自然と答え方、顔がフジウラさんと同じになっていたような気がする。
コバヤシ夫妻が石風呂に入っている間、フジウラさんとワタクシにお酒がふるまわれた。酒のあまり強くないワタクシにはきついくらいの少々強くて酸っぱいお酒だった。最後の夜である。
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