コバヤシ乱入

1日目






1日目

船の寝ごこち

船で旅がはじまるのは、それが島へ行くのだからなおさら、しっくりときてよいも のです。みんなすごく浮かれていて、これから林間学校へ行くみたいな気分。甲板で 風を受けて飲むウイスキーはとてもおいしい。遠くに離れてゆく東京の夜景もおつな もの。  ブータンで知り合った愉快なサラタビふたり組、フジウラさんとヲサムさんと、ま た新しい旅にでられるなんて、こんなハッピーなことはなかなかありません。

ただひとつ、心配なことが・・・。それは「船酔い」。酔い止め薬を飲むという方 法もあるけれど、あれはすっごく眠くなる。夜の宴会に参加できないのだけはイヤ! と思い、とりあえずお酒を飲んで、ごまかしごまかし、酔ってきたら(船に? お 酒に?)寝てしまおうという作戦をたてました。

*今回思ったこと 船は立つか寝てるかすれば酔わない。座っていると酔う。それか ら、船旅は夜行で。(昼間は、当たり前だけど、景色はずーっと海原で、少したいく つしてしまうかもしれません。日程が短いと、昼間、寝ているのも・・・どうかと。)

楽しく飲みつつ、船がゆれてきたので、先に休ませていただくことにしましたが、 これがけっこう、寝ごこちがよいのです。大きなゆりかごで寝ている感じ。またはちょ っと固いハンモックといったところでしょうか。借りてあった毛布(100円)を寝ぶ くろ風にまいて、雑魚寝です。日頃寝不足のヲサムさんもぐっすり、夫はゆれがマッ サージのようで、肩と腰のこりがとれたとか。そんなわけで、次の日の早朝、「結構?  決行? 欠航? ん?」となったとき、頭が冴え渡っていたのは、われらが大将、 フジウラさんのみなのでした。

「まあ、途中の島で降りられたのは、ラッキーだったね」
「ふたつの島に行けるなんて、いいですよねー」
 そんな調子で、御蔵島に降り立ったのです。

こばやしまゆみ





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