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サラタビUSA
7−3:
無事、ダウンタウンに戻ってこれた。かなり長い距離を運転したせいか、だいぶ運転にも慣れてきた。少し自信がついてきた。次の目的地は国立公民権博物館。実は、ここにはボクが来てみたかった場所である。
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ここは黒人開放運動の指導者、マーチン・ルーサー・キング・ジュニアが銃弾を受けて暗殺された地、ロレイン・モーテルがあった場所である。
このルーサー・キング・ジュニア、ボクが初めて知ったのは中学一年生の時。当時の英語の授業で、この人の写真を先生が持ってこられた。質問「この人は誰でしょう?」。まだまだ純朴少年であった、ボクは必死になってこの人は誰なのか調べた。他の生徒は誰もそんな問いかけに対し、調べもしなかっただろう(多分)。翌日、その先生の元に行き、「マーチン・ルーサー・キング・ジュニア」と答え、お褒めのお言葉を頂いた記憶がある。
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この人がどんな人なのか、どんな事をした人なのかも勿論調べた。まだ、13才のボクは、暗殺された事実を知り、なんとなく悲しい気分になった事も、この歳になっていまだ記憶に残っている。それだけ思い出があった(そうはいっても、下調べをしなかったボクは直前になってメンフィスにその地があるのを知った・・・)、キング牧師である。
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1968年、ボクが生まれる前に、彼はこの地、ロレイン・モーテルで暗殺された。
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そして、ここは博物館になった。歴史の現場を博物館として残す事、とても大切な事だと思う。
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しかし、一方で、その事で、異を唱える人もいる。暗殺当時、そのモーテルで生活していた人である。その中の一人のご婦人が今でも、モーテルを博物館にした事に対し、ストライキを行っていた。この博物館の前で観光客にもアピールし、ずっと訴えつづけてきたそうである、雨の日も風の日も。そして何十年も。自分の居住する場所を奪われたと。これもまた歴史なんだろうか・・・。表も裏もある。
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この建物の中はキング牧師の業績や、公民権運動の歴史等がわかる。今回、訪れた時期に、入ってすぐの展示場で、冤罪で服役した人々の写真と、その事件の詳細がかかれたパネルが特別展示してあった。パネルに映った人々はどれも悪人顔。勿論、ボクの勝手な意見である。でも、ひょっとしたらそれゆえ疑われたかもしれない(まぁ、今の社会、そんな事だけで疑われる事はなかろうが・・・)。しかし、冤罪で苦しんだ事実は最悪な出来事である、冗談では片付けられない。
そんな中、一人の女性のコメントが目についた「これからは、前を向いて生きるしかない」。人間はものすごく強い。彼らが経験した事など、はっきりいって理解はできない。しかし、その言葉はとてもとても重い言葉で、心にずしーんときた気がする。
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展示場を後にすると、いよいよ博物館の始まりである。ミニシアターがあり、まずは歴史のおさらい。勿論英語であるが、何となくわかる。少しは英語が上達したのだろうか?さてこちらの博物館は昨日の音楽博物館同様、歩きながら、写真や展示物の所にたどりつくと、手元のイヤホンからそれらの説明が流れる。その都度、止って展示物を確認できる。当時の黒人差別の歴史が良くわかる。
バスやレストラン、カフェ。当時は全てが白人と黒人がわかれていた。そんな歴史の中で闘ってきた指導者達。そして最後の展示物は、キング牧師が最後に宿泊した部屋。当時のまま。何を思っていたのだろうか。彼の仕事が世界を変えた。しかし、今もなお"差別"が世界中に存在する。これまた深く考えさせられる。
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初めにも書いたが、ここはキング牧師が暗殺された場所でもある。
このベランダでうたれ、
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そして、撃った場所がこのホテルの向かいにある建物と言われている。
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この撃った建物も今は博物館とされており、こちらの建物は当時の暗殺事件について詳細に伝えている。どうやって撃ったか、犯人はだれか?まるで、推理小説を紐解くかのような展示。こっちはこっちで、また面白い作りとなっていた。
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若い頃のぼんやりとした思い出だけで、何の気なしに、訪れたこの博物館。ボクの中では今日一番の収穫であり、心に残る時間であった。気がつけば夕日がまぶしい。あっという間に時間がすぎていた。
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