ふじうら旅日記
5日目
その2
プレスリーの住んでいた豪邸を見に行くが、
「入場料が高い」と早々に帰る。
時刻は11時半。次はエルヴィスの豪邸「グレイスランド」に向かう。Union Ave.が240号線を越したら、次を右折してBelle View Bld.に入ればよい。はずなのだが、なかなかグレイスランドらしきものが現れない。
さては道を間違えたかと一度戻ってみたのだが、どう見てもこの道が正しそうだ。大きなスーパーマーケットの駐車場に入って、店の前でたむろしていた黒人たちに道を聞く。「どこに行きたいんだ」「グレイスランド」と答えると、馬鹿なことを聞くなと言わんばかりにガハハと笑って「このまままっすぐ15分、見逃しっこない」と言うので、それを信じて再び先ほどの道をもっと先まで行く。
持っていた地図の感じより、もっと先に、あー、あったあった。これだ。なるほどでかい。2ドル也の駐車場にクルマを入れると、注意書きに「ビデオNG、デジカメNG、バッグNG」。手ぶらで行くことになった。従ってグレイスランドの写真はありません。
実をいうと私はエルヴィスにブルースを感じないので、昨日の深夜確かめた「この旅で自分に必要なもの」の中にサンスタジオは入っているが、このエルヴィスの豪邸は入っていない。ここはアメリカ芸能界の重要な場所であるかもしれないが、ブルースとはあまり関係ない場所だと思うので、カメラなしでもまあいいか、という感じだった。
並んで入場券を買う。まあ、遊園地に入るようなノリですな。いくつかの展示館に分かれていて、全部見る券もあるし、館ごとの個別の券も売っている。
「全部見る」ほどの気はせず、とりあえず面白そうなエルヴィスのクルマのコレクションを見に行くことにした。ピンクや紫のキャデラックを見て、エルヴィスグッズ満載の土産物屋をひやかして、さて、どうする?
見に行くとすれば、エルヴィスの住んでいた館そのもので、これは奥まったところにあるらしくここからバスに乗って行くのである。三人とも「どっちでもいいけどせっかく来たんだから行くかなァ」と、なんとなくそんな感じだったのだけど、その館を見る「マンションツアー」の価格が17.25ドルなのを見て「高いから、いいや」とそのまま帰る。
ここに来て「高い」というくらいなら最初から来なければよいのであるが、ん、まー、その考えのないところがサラタビなんであって、ヲサム君も私も「それでいいや」と思ったし、巻きこまれたダイスケ君も別に不満はなさそうだった。最初から「全部見る券」を買っておけばたぶん行ったんだろうけど。
それよりも、今日ぜひ行きたいところがある。キング牧師の撃たれた場所だ。「現場に立つ旅」としては、その場所のほうがはるかに重要だと感じた。キング牧師の撃たれた風景、その場所に立った実感を大切にしたい。
キング牧師、レヴランド・ドクター・マーティン・ルーサー・キング・ジュニアには、三人三様に思い入れがあるらしい。若いダイスケ君はクラブ/ヒップホップ世代なので、現時点の黒人意識から遡って公民権運動を知ったようだ。
昨日ブラックミュージックミュージアムで、多くのビジュアルを見ながら音楽の中で公民権運動を知ったので、背景知識量はかなり増えている。
メンフィスの町に戻り、泊っているBest Westernの前を過ぎて、2nd St.を左へ。わりあいスムーズに公民権博物館に着いた。1時を少し過ぎている。
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