言わせてもらえば |
兵隊やくざ を読む |
ずいぶん前から欲しいと思っていたDVDがあって、それをようやく「正月に見よう」と思って買った。 勝新/田村高廣の「兵隊やくざ」である。「なにを正月に酔狂な」という人もいるであろうが(そのとおりに息子にも言われたが)、まあ、とにかく「前からずっと欲しかった」のだ。 悪名、座頭市、と勝新のヒットシリーズも多いが、兵隊やくざは、彼の本質的な良さとダブるようなところがあって、はまり役なんである。 なんといったらいいか、「男らしくて純朴で図々しい」という丸太ン棒のような役柄なのだ。 で、まあ、シリーズ8本のうち前半4巻をセットにしたDVDを買った。 それに飽き足りず、原作の小説も買った。アマゾンの古本でなんと1円である。正・続あって、別の古書店で買ったが、送料が340円。こんなので古本屋はやっていけるんだろうかと思うような価格で、けっこうキレイな本が送られてきた。 原作の文章を読んでいても、映像は勝新が浮かんでくる。本当に当たり役なのだ。 これを読んでいて、ああ、なるほど、と思うところがあった。 話は細かくなる。 兵隊やくざ(シリーズ第一作)の予告編にあって、本編にないシーンがある。(特典映像で見ることができる) 女郎の「みどり」役の滝瑛子が、「この狭い孫呉(町の名)で兄弟でない兵隊なんかいるものですか」と啖呵を切る場面なのだが、なぜか本編にはない。 「音丸」役の淡路恵子があまりにもいいので、その分滝瑛子の出番を削ることになったのだろうと思ったが、そのシーンが物語のうちのどこにつながっているのか、原作を読んでわかったのであった。 暴力シーンが多いので、しょっちゅう見て楽しむという映画でもないが、勝新、田村高廣、どちらにも男の「こうあるべし」という姿があって、なンとなく痛快壮快になる映画なのである。 http://www.fujiura.com/lessonsoft/critique/movie.htm (2007年01月02日) |
c 1999 Keiichiro Fujiura |
表紙 |
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