Wang Dang Doodle
What It Takes
Wang Dang Doodle
ワン ダン ドゥードル
(Willie Dixon)

Wand Dang DoodleはFGODではまだやったことがありません。Koko Taylerバンドの元ピアニストSonny Taylorがジャムセッションに来るというので密かに仕込んだのですが、彼が来なかったので不発に終ってしまったものです。

しかしせっかく調べたのでメモとして残しておきます。日本でやってもあんまり受けそうもありませんが、アメリカ人の前で演る機会があったら「なかなかやるな」と思ってもらえたりしないかなあ、と狙っています。

作詞作曲はご存知Willie Dixon。らんちき騒ぎをテーマに思う存分言葉遊びをした歌詞ですが、これがKoko Taylor最大のヒットとなりました。歌詞について細かく見ていきましょう。

「automatic」はrevolverに対する「自動装填拳銃」のことでしょう。「tote」は持ち運ぶ。女性のハンドバッグにトートバッグというのがありますね。あれはこのtoteです。「pitch」には「場所を定める(pitch a tent=野営の場所を決める)」という用法もあって、「ball(舞踏会)」と合わせてpitch a ballと野球のような組み合わせにしています。直接には「ボールを投げる」と言っているようですが、「ダンスパーティの場所を決める」ということ。

「union hall」は組合の集会所とか学生会館とか。「romp」は跳ねる、「tromp」は足踏みをする、です。

さていよいよこの曲名、「wang dang doodle」。これに関係した単語としては、wangle=「急場をうまく切り抜ける」、dangle=「(女などに)つきまとう/見せびらかす/(誘惑を)目の前にちらつかせる」というのがあります。wang dangとは、はしっこくてヤバイ感じの語呂合わせです。

「doodle」とは「いたずら書き」という意味ですが、むしろYankee Doodleという曲名が有名でしょう。これは独立戦争のころに流行った曲の名前ですがとっくに意味はありません。あえて言えば「American Graffiti」とほとんど同じことになりますが、例えばあの映画と「アメリカの落書き」という言葉に直接の関係はないでしょう?気分はわかりますけど。

「wang dang doodle」とは「どんちゃん騒ぎ」のことである、といまでは辞書に載っています。それもこの唄が作った用法のようです。

「Kudu-Crawlin'」がよくわかりません。Kuduはカモシカです。Crawleは水泳のクロールと同じで「這う/うろうろする」というのが主の用法ですが「ハシゴ酒をする」という意味もあります。またRindin' with the Kingでは「(女と)のたうつ/寝る」というような使い方もしてますから、このカモシカは女性のことを指しているのかも知れません。とりあえず「女誑し(たらし)」としておきます。

「Abyssinian」とは、また耳慣れない単語を持ってきましたね。ウィリーディクスンやりたい放題です。これは「アビシニア人」。アビシニアってどこにある国か知っていますか?アビシニアはエチオピアの別称です。

「mess」は元々「めちゃくちゃ」ですから、throw a messはそれをさらに放り投げる感じ。手放しの大騒ぎです。

「boxcar」は箱車ですから、いろんなものがありそうです。例えば霊柩車とか。辞書的には「boxcar」は「有蓋貨車」ですので「タダ乗り」と解しておきます。

「peg」だけではなんとも言えないのですが、「女性名Peggyの略」ではこの歌詞の中で迫力が足りないですよね。pegは杭(くい)、くぎという意味です。「peg leg」で義足ですからそういう意味か。挿し歯のことをPegと言ったというので、これを採用しました。「dye」は毛染めです。年寄の売春婦が若作りしている姿でしょうか。

「snuff」は「嗅ぐ/鼻で吸う」。snuff juice「くんくん臭いのするジュース」というのは何でしょう?性的なものか、薬物か?

Koko Taylorがインタビューでこの曲のできたときのことを話しています。夜中にWillie Dixonが興奮して電話をかけてきたと。行くとこの歌詞を見せられて「何よこれ?」と聞くと「君のヒット曲さ」と答えたということです。彼女も「there'll be snuff juice everywhere って何のこと?」とトボけていましたが、わざわざこの一節を取り上げるところを見ると怪しげな意味かもしれません。

そこの文章は「fish scent(魚の香い)が空気に満ちたら いたるところがsnuff juice(匂うジュース)でいっぱい」と唄っていて、非常に意味深です。曲者Willie Dixonですから性的な隠し味をビンビン効かせているように思います。





Wang Dang Doodle

どんちゃん騒ぎ
Tell Automatic Slim,
tell Razor Totin' Jim
Tell Butcher Knife Totin' Annie,
tell Fast Talking Fanny

An' we gonna pitch a ball,
a down to that union hall
We gonna romp and tromp till midnight
We gonna fuss and fight till daylight
We gonna pitch a wang dang doodle all night long

自動装填銃サムを呼べ
剃刀ジムにも声をかけろ
肉斬包丁アニーにも伝えろ
早口ファニーにも話をしろ



ダンスパーティをやらかすぞ
あそこの集会所で
飛んだり跳ねたり 夜中まで
口論喧嘩は 日の出まで
危ない遊びを夜通しやろう
All night long
All night long
All night long

一晩中
夜明かしで
朝までね
Tell Kudu-Crawlin' Red,
tell Abyssinian Ned
Tell ol' Pistol Pete,
everybody gonna meet

Tonight we need no rest,
we really gonna throw a mess
We gonna to break out all of the windows,
we gonna kick down all the doors
We gonna pitch a wang dang doodle all night long

女誑しレッドを呼んで来い
アビニシア人ネッドも忘れるな
老いぼれのピストルピートも
みんな集めるんだ



今夜は休憩なんか無しだぜ
手放しで滅茶苦茶にやるぞ
窓のガラスは全部割って
床はみんな踏み抜いて
どんちゃん騒ぎを朝までやろう
All night long
All night long
All night long

夜通しで
一晩中
徹夜でね
Tell Fats and Washboard Sam,
that everybody gonna to jam
Tell Shaky and Boxcar Joe,
we got sawdust on the floor

Tell Peg and Caroline Dye,
we gonna have a time
When the fish scent fill the air,
there'll be snuff juice everywhere

デブも洗濯板サムも
みんなジャムに集めるんだ
よいよいも只乗りジョーも呼べ
床にはおがくずを撒いてある



挿し歯と染毛のキャロラインも
たっぷり時間をかけて楽しもう
魚の臭いが空気に満ちれば
匂うジュースがあっちもこっちも
らんちき騒ぎを夜通しやろう
All night long
All night long
All night long

一晩中
徹夜でね
夜明かしで
All night long
All night long
All night long

一晩中
夜明かしで
朝までね

CD
Koko Taylor
Howlin' Wolf
Wang Dang Doodle

楽譜
WOMAN
DEEP BLUES
Wang Dang Doodle

資料

Willie Dixon
Wang Dang Doodle



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