71年にサンタナで大ヒットして「僕のリズムを聞いとくれ」という日本語タイトルまである曲ですが、これもまたサンタナのオリジナルではありません。
オリジナルはラテンジャズバンドの帝王、ティト・プエンテです。私の調べた限りでは初出は51年のアルバム「Babarabatiri」のようです。Tito Puentoはラテン系ビッグバンドのリーダーで、マンボ、チャチャなど40年代から50年代のラテンジャズをリードした人で、当時は非常に人気がありました。
おそらく少年サンタナはこういう音楽を聞きながら育ったのでしょう。ティト・プエンテのバンドは現在のサルサブームのはしりのような、ジャズとラテンの融合した当時としては最新鋭のサウンドでした。
ダンスナンバーなので、基本は繰り返し。リズム隊は一曲を続けてずっと同じパターンです。そこにときどき変化をつけるために仕掛けのある「決め」が入ります。こういう曲は日本人にとっては苦手なパターンでもありますが、そのリズムにはまっていくと演奏している側もとても気持ちいいものです。深く考えず無心に曲に入っていく、身体で音楽するのが、こういう曲の場合コツと言えます。
歌詞は、とりあえずカタカナで、オエコモワ ミリーモ ブゥエノパゴザ トゥラー と唄っています。Oyeが命令形で「聞いてくれ」、Comoは英語でいうと「How」、Vaは「行く」の三人称単数形。スペイン語は主語を省きますから、英語に直すと「Listen How It Goes」てな感じ。従って「僕のリズムを聞いとくれ」という翻訳タイトルが生まれたわけです。
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