As the Years Go Passing by
Ain't Enough Comin' In
As the Years Go Passing by
アズ ジ イヤーズ ゴー パッシング バイ
(Peppermint Harris)

スローなマイナーブルースです。多くの表示では作者名が「Deadric Malone」となっています。Deadric MaloneとはDon Robeyのペンネームで、この曲も金で買ったものであり、本当の作者はPeppermint Harrisである。という説に従い、ここでは作者名を「Peppermint Harris」としました。

Don RobeyはDuke Recordのオーナーでヒューストンにおけるショービジネスの雄ですが、高校中退後の経歴をプロのギャンブラーで始めたといいますし、闇の部分も多い人だったようです。

彼は自分の利益を最優先するタイプで上記のように人の作品を金でしばるなど許せないような行為も多いのですが、結果としてこの人がいたおかげで私たちにテキサスのブルースやゴスペルの記録が豊富に残されたのですから、功績も小さくありません。

実の作者のPeppermint Harrisはテキサス南大学(「黒人のためのテキサス大学」と呼ばれた)出のインテリで、50年代から60年代にかけて活躍したブルーズマンです。51年にはI Got Loaded をチャート一位にするなどヒットもあり、作者としても多くの曲を残しています。

しかしDon Robeyとの非道い契約書に縛られ「As the years go passing by」が生むはずの利益も名声も奪われてしまいました。精神的には辛い境遇だったと思いますが、幸い彼はそれに耐えて生き続け唄い続けたので、今ではこれらの作品が彼のものであることが明らかになっています。

「As the years go passing by」の最も有名な録音は、Albert Kingの名盤「Born under the Bad Sign」(1967)に収録されているものです。社長名義の曲とはいえ、Dukeレコードでは大ヒットしなかったようです。

1992年に「We Love You Bobby」というBobby Blue Blandへのトリビュートアルバムが発売されました。その中に「As the years go passing by」が入っていますから、Bobby Blandがこの曲を歌っていたことは想像できますが、現在発売されているBobby BlandのCDには見当たりません。

Don Robeyは晩年レコード資産を他社に売り渡しました(最終的にはほとんどMCAへ渡った)が、その時代の録音は「Duke名演集」といったオムニバス編集でときどき発表されます。例えば1988年に LP「ANGELS IN HOUSTON」(Rounder 2031)が発売されました。このアルバムにはBobby Bland、James Davis、Larry Davis、Fenton RobinsonのDukeを代表する有名曲が3〜4曲づつ収録されています。こういう場合「As the years go passing by」はFenton Robinsonの持ち歌として扱われます。

Fenton Robinsonの現在市販されているCDでこの曲が収録されているのは「I Hear Some Blues Downstairs」(1977年)。レーベルはAlligatorです。

ちなみにFenton Robinsonについては次のような逸話があります。(AMG)

「1957頃、ギターのFenton RobinsonとベースのLarry Davisはペアを組んでフラミンゴクラブに出演していた。Bobby Blandが二人をLarry Davisに紹介した。Fenton Robinsonは51年頃シカゴでBobby Blandのバックバンドをしていたので知り合いであった。」

従ってLarry DavisとFenton Robinsonはもともと仲間なのですね。Larry Davisが唄ったTexas FloodではギターをFenton Robinsonが弾いていますし、Fenton Robinsonは自分名義のアルバム「Somebody Loan Me a Dime」でTexas Floodを唄っています。

二番の歌詞には、ほんの少しですがバリエーションがあります。

I give you all but a home,
that's one thing you get the night
I give you all but a home,
that's one thing you get the night
You know my love will follow you,
as the years go passing by

原曲では「deny」と「by」で韻を踏んでいるのが、ここでは「night」になっています。韻も壊れているし、この歌詞のほうが優れているとも思えません。「home」という言葉になにか思い入れがあるのでしょうか。三番の「I'm gonna leave it up to you」の「it」の意味を重くしている感じはあります。

Gerry Mooreも「As the years go passing by」の優れた録音を残しています。最近の録音ではOtis Rushの「Ain't Enough Comin' In(写真)」での演奏が私は好きで、ジャケットも雰囲気があったのでその盤をこのページのビジュアルに採用しました。

唄いはじめた瞬間の「There is nothing I can do 〜」というところが勝負です。切なく頼りなげなフレーズが、ふわ〜っと空中に投げ出されるような感じ、というか。ここをうまく表現できるといいなあ、と願いつつ唄っています。





As the Years Go Passing by

時の過ぎいくままに
There is nothing I can do,
if you leave me, with a cry
There is nothing I can do,
if you leave me, with a cry
Baby my love will follow you,
as the years go passing by

俺にできることは何もない
泣いている俺を残して 去って行くというなら
できることは何もない
俺を涙と残して お前が去って行くなら

ベイビー 俺の愛はお前を追い求めるだろう
時が過ぎ行くままに
I give you all that I own,
that's one thing you can't deny
Give you all that I own,
that's one thing you can't deny
You know my love will follow you,
as the years go passing by

お前には持っているものを全てやった
それはお前も否定できないこと
俺の持っているものは全て捧げた
それはお前も「嘘」と言えないだろう

俺の愛はお前を追い求める
時が流れていくのにつれて
I'm gonna leave it up to you,
so long, baby good bye
I'm gonna leave it up to you,
so long, baby good bye
Baby my love will follow you,
yes, as the years go passing by

みんなお前に残していくよ
じゃあな ベイビー さよなら
残したものはお前が好きにするがいい
じゃあな ベイビーさよなら

俺の愛はお前を追うだろう
時の流れとともに



CD
Otis Rush
Fenton Robinson
As the Years Go Passing by


オーティス・ラッシュ
フェントン・ロビンソン
DUKE RECORD

楽譜
Otis Rush
ALLIGATOR RECORD
As the Years Go Passing by



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