Tarakan
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レーザーディスクショップ
町を歩くと、大きなパラボラアンテナが目立つ。衛星放送テレビを受信するためのものだ。インドネシアの僻地なので地上波のアンテナ設置が遅れた結果こうなったのだろうが、この田舎さ加減とアンテナが連立する風景はどこかそぐわない。赤道も近いのでアンテナの方向が真上を向いている。それも日本では見慣れない光景である。

もうひとつ不思議な感じがするのがレンタルレーザーディスクショップだ。貧しい小さな町なのに、こんな店が成り立つほどレーザーディスクプレイヤーがあるのか。レンタルビデオの店はないので、よけい目立つ。ソフト販売店にいってもビデオは売っていない。レーザーディスクとビデオCDが主流だ。



BINTANGの看板 道路は舗装路だが白い砂が拭いている。小学校のスクールバスが止って、子供たちがこちらをじっと見ている。「アパ・カバール!(元気か?)」と声をかけると声を揃えて「バイク バイク!(元気!)」と返事してきた。外国人が珍しいようだ。インドネシアの人のほうがマレーシアより人なつっこい感じがする。田舎のせいかもしれない。

通りに大きなBIR BINTANGの看板があった。マレーシアではタイガービアかカールスバーグだったが、ここではBINTANGまたはANKARビールだ。通りの小さな食堂でビンタン7500RP(106円)とミー・カー(焼きそば)4500RP(64円)を食べる。食事より酒が高いのはマレーシアと同じだ。


果実を売る夜店 暑いので人々は夕暮れを待って動き始める。夕闇の中、ランプに照らされてバナナやマンゴスチンを売る夜店の光景は幻想的だ。町の中心にある十字路にはネオンが点いている。掃除をしている姿がネオンでかたどられている。なんだかレレレのおじさんの像みたいでおかしい。

共産圏ではないのに、どこか「中央の意志」を感じるのは気のせいだろうか。


交差点のネオン テレビの番組はマレーシアとインドネシアは全然違う。

マレーシアは上昇志向が強く、為替変動とマルチメディアのニュースをのべつやっているのに、インドネシアは娯楽中心だ。チャンネルを変えても同じような歌番組をやっている。「愚民政策」という言葉が頭に浮かぶ。


タラカンは乗り継ぎの一泊だけだ。それでもマレーシアとインドネシアの違いは如実に感じられる。小さな田舎町タラカンの空気は穏やかで豊かな大国の安心感をたたえていた。このインドネシアの旅はスハルト政権崩壊の2ヶ月前。都市部と一部島部では緊張感が高まっていたようだが、タラカンのような田舎町ではあまりその気配は感じられない。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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