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ここから見る橋の眺めは良いのだが、電線が邪魔だったりしてなかなかカットが決まらない。光もフラットになってしまって陰影が出ない。 「やはり昼からはダメだね」 |
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上流にもっと良い場所があるというので、クルマを15キロほど走らせる。 ドンさんも運転手も初めての場所らしく、途中でなんども道を聞きながら進む。 |
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ひらけた水田地帯に出た。 田んぼのまんなかに一本の道がある。まっすぐな道だ。遠くから来る人が見える。細い樹木が道沿いに植えられている。 |
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そこを大きな草束を抱えた男が歩いてきた。「お、これはいい絵になる」ダイトウさんが急いで撮影の仕度をするが、その間にも男はどんどんこちらへ近づいて来てしまった。 ドンさんが急いで行って男を止める。 「写真を撮っていいか」 男はうなづいて藁束を降ろそうとする。 「いや、そのままでいいんだ」 「そうか」 「それで、あのへんまで戻ってほしいんだが」 なんだと、と男は憤然とした様子だ。 |
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そりゃそうだよな。 「せっかくここまで運んできたのに!」 |
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いかにもアジアらしい、のんびりした写真が撮れた。 |
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