Solo
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ソロ川は今日は晴れ。
撮影場所を求めて、上流の水田地帯へ。

公園の戦闘機 まずはブンガワンソロを撮りに行く。

この前ひとりで行ったときは雨だったが、今日は晴天。しかし日がかげりそうな気配だ。陽光があるうちに急いで撮影したいのだが、撮影場所がなかなか決まらない。ダイトウさんがじっと睨んで「あそこ」と走り出す。みんなは機材を抱えてそれを追いかける。

川沿いの公園に、橋を望む場所があった。ここは小さな遊園地のようになっていて子供連れが多い。ふと見ると戦闘機が飾ってあったりする。インドネシアは「戦勝国なんだな」と、改めて思う。

ここから見る橋の眺めは良いのだが、電線が邪魔だったりしてなかなかカットが決まらない。光もフラットになってしまって陰影が出ない。
「やはり昼からはダメだね」

ソロ川に架かる橋 上流にもっと良い場所があるというので、クルマを15キロほど走らせる。
ドンさんも運転手も初めての場所らしく、途中でなんども道を聞きながら進む。


 
ひらけた水田地帯に出た。

田んぼのまんなかに一本の道がある。まっすぐな道だ。遠くから来る人が見える。細い樹木が道沿いに植えられている。

そこを大きな草束を抱えた男が歩いてきた。「お、これはいい絵になる」ダイトウさんが急いで撮影の仕度をするが、その間にも男はどんどんこちらへ近づいて来てしまった。

ドンさんが急いで行って男を止める。
「写真を撮っていいか」
男はうなづいて藁束を降ろそうとする。
「いや、そのままでいいんだ」
「そうか」
「それで、あのへんまで戻ってほしいんだが」
なんだと、と男は憤然とした様子だ。

あ、怒ってる怒ってる、と頼む立場のダイトウさんも思わず笑っている。
そりゃそうだよな。
「せっかくここまで運んできたのに!」

藁束を抱えた男 まあなんとか説得して、その男にはもとの場所に戻ってもらう。
いかにもアジアらしい、のんびりした写真が撮れた。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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