Solo
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山上の古寺にたたずんでアジアの風に吹かれ、
帰り道にはよく熟れた安いドリアンを買う。

寺は山の上にあった。

狭い道をくねくね上がっていく。田舎の風景は日本の昔に似ている。ときおり路線バスと行き交う。バス停の前に小さな雑貨屋があって生活用品や菓子を売っている。祖父の住んでいた家の近所の光景を思い出す。



SUKUH TEMPLEの砂利道
拝観料3000rpを払い、名簿にサインする。日に10人来るかどうか。日本人の名前もちらほらと見える。

ピラミッドのような石の建造物である。「Temple」という概念とはちょっと違う。仏教やヒンドゥの像は見当たらない。丘陵にそって細い階段で結ばれた3つの塚がある。磁石を取り出して確認すると、塚は正確に東西方向に並んでいる。


亀の台座
太古のもののように見えるのだが、案外新しいようで「15世紀」という掲示がある。故郷の九州でも山頂のストーンサークルを見たのを思い出す。しかしあれよりはずっと人間臭い。


顔のレリーフ
男女和合のレリーフがある。翼の生えた象の姿などもある。ヒンドゥの神にガネーシャという象の姿をしているものがあるが、それに翼の生えたバリエーションがあるのだろうか?よくわからない。印象としてはエジプトの鷲の絵にも似ている。


山上の風景
山の遺跡でしばらく過ごし、麓の椰子やバナナの林を眺める。湿った樹林を抜けて、穏やかな風が吹いている。


帰りの道でふたたび K--- の町を通ると道端でドリアンを売っていた。ドリアン売りのおやじが「これはよう熟れとるでー」と振ってみせる。叩くのではない。振っただけでわかるらしい。WASHILANがうなづいて、一個買っていけという。

「しかし、ホテルに持ち込んでもいいのか?」
「No Problem」

まあテラスで食べれば問題ないだろうと一個買う。5,000rp(71円)。きのう市場で見た価格よりずいぶん安い。


人々のレリーフ
「明日はどうするんだ」
「明日はいいよ。ソロを発ってジョグジャカルタに行くから」
「そうか。ではジョグジャカルタまで乗っていかないか」

列車も予約していないし、向こうに着いたらMelia Purosaniホテルを探さないといけない。ここから直接待ち合わせ場所まで行ったほうがよさそうだ。言い値は55,000rp(781円)適切だと思えたので、このクルマでジョグジャカルタまで行くことにする。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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