Kyaikhtiyo
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行く手はゲリラの活動地帯で厳重な警戒。
どの橋も皆なぜか落ちている。

乗合バス クレスタはこの道で右に曲がってバダンに向かう。しばらく走ると立派な自動車道路に入った。

軍用道路 「軍の道路だ」

運転手のキンが言う。なるほど、灰緑色に塗られた軍用車がときおり猛スピードで走ってくる。他にはあまりクルマの姿も見かけない。ほとんど軍の専用だ。

あたりは農地のようで、沼のほとりに小屋があったりしていくらか水の気配もする。どうやらヤンゴンの周辺は干潟だが、それを離れたものらしい。

向かっている方向は東。タイとの国境地帯である。そのあたりはゲリラの活動地域で、軍の警戒も厳しいという。

軍用道路の途中に大きな鉄橋が架かっていた。キンはあまり英語がうまくないので複雑な話はできない。この橋の名は「シッダウン・ブリッジ」と言ったように聞こえた。橋の途中に4箇所も、銃を抱えた警察官が座っている。ゲリラの破壊工作を警戒しているのだという。

たしかに軍事拠点には違いない。この橋を壊されたらこのあたり一帯が麻痺してしまうだろう。

川沿いに大きな工場があった。「バンブーからペーパーを作っている」。竹から紙を?相当な量の竹が必要だろうなあ。


バダンを過ぎると道路が悪くなった。軍用道路はもう終わりらしい。泥道の路肩が壊れている。道幅もそう広くないのに路肩がぼろぼろ崩れているからちょっと恐い。土質もよくないので、迂闊にタイヤを乗せると道から端に落ちそうだ。

もっと広くして植樹するというような工夫はできないのだろうか。

工事トラック おまけに橋がいくつも落ちている。3つも続けて壊れていた。そこを工事しているので、これまで以上の物凄い土埃だ。橋の脇に仮設の迂回路があるが、狭い道で渋滞しているから窓を閉めても待っている間に粉塵が入ってくる。

「なんでどの橋も同時に落ちているんだ。これもゲリラの仕業か?」

聞くと、乾季にしか工事ができないからまとめてやるのだという。すると毎年これを繰り返しているのか。

その費用を稼ぐためか、やたらと検問が多い。そこを通るとき「TAX、TAX」とキンが言う。検問所で払う金は道路税らしい。

ヤンゴンでもそうだったが工事の土は一輪車でなく頭に乗せて運んでいる。このあたりは大工事なのでさすがに男ばかりだが、市内の土木工事などは女性が土や煉瓦を頭に乗せて運んでいた。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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