| 宿所が決まったので一安心である。船着き場まで戻り、ゴールデントライアングルに行くことにしよう。 船頭に値段を訊ねるとスピードボートで往復500B(1500円)だという。一泊70B(210円)の旅行者にしては贅沢な価格だ。誰か旅行者がいればシェアして行くところだがしかたなく、船頭一人客一人の貸し切りで行く。 |
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細長い小舟はスピードを上げて走り出した。船頭は船尾でモーターを操り私は前寄りに乗る。スピードはけっこう速く、飛沫(しぶき)がかかる。水は土色だが大河なので指を入れても泥は感じない。 対岸はラオスだ。小さく見える子供たちはどうやらすっぽんぽんで泳いでいるらしい。タイよりは相当貧しそうに見える。 |
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船頭が「ラオスに寄るか?」と聞く。 「もちろん」。 この500Bの往復は簡単なパッケージツアーのようになっていて、途中オプションでラオスの村に寄ることができる。そのままラオスの奥地に入っていくことはできない「観光入国」である。 |
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舟が対岸に着いた。小さな桟橋の階段を登っていくと入国管理の小屋がある。イミグレ料1000キップ=20B(60円)。いい小遣い稼ぎだろう。公園ほどの土地にラオス風の住宅が建っている。ユネスコ村のようなものだ。ラオスのビール「ラオビア」(40B)を飲んで再び舟に戻る。 |
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川の上流が二つに別れた。 「着いたよ」 舟は左岸の船着場に停まる。 来てみれば「さほどでもなしゴールデントライアングル」という感もないではないが、メコンの大河が合流しタイ、ラオス、ミャンマーの国境が一点で交わる風景はさすがに壮大だ。川を少し遡るとラオス、ミャンマー、中国の三国境が交差することになるらしく、このあたりには中国を含めた四国の国旗が散乱している。 |
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観光客が多く土産物店が並んでいる。芥子を題材にした阿片中毒的デザインも少なくない。 岸から風景を眺め土産物売りを冷やかす間、スピードボートはずっと船着き場で待っていた。完全貸切である。 |
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チェンセンの船着き場までの帰りにも、川の中に人が入っているのを何度も見た。浅い場所は多いし、半分まで歩いていけばどこででも渡れそうな国境だ。もちろん船着き場はいたるところにある。バスで体験した検問はそういった不法入国者を見つけるためのものだったのか。豪邸に猛犬がいて人を噛み殺そうな勢いなのも無理はない。 ラオス側の水浴者は川で石鹸を使っている。タイ側にそんな人はいない。向こうには水道がないのだろう。物理的にはとても近いのだが生活水準はまるで違う。不合理を感じさせる光景だ。 |
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メコン川の川崖はラオス側のほうが高く険しい。土の色は赤い。「赤壁」という感じの崖である。 |
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