Chiang Rai
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日本人の若者、現地のホステスと一緒に
夜市を冷やかし、カラオケに行く。


チェンライには洋風の建物も多い

この町で日本人の若者二人と知り合った。ひとりの男は名をタカシといった。二人 とは最初ホテルのバーで出会った。「日本人ですか?」というよくあるやつだ。 タカシはこの町によく来ているらしく、ホテルのバーのホステスとはなじみらしい。 見ているとひとつのグラスのビールをふたりで飲んでいる。

ホテルで別れてナイトバザールに行ったら、またこの三人に出会った。外国人の行 くところなど似たようなものだ。日本人若者ふたりと例のホステスの三人連れと一 緒に夜店を冷やかしたりしているうちに、仲良くなって一緒に飲みにいくことにな った。

ところでこの町のナイトバザールはチェンマイのものよりずいぶん泥臭い。ステー ジでやっているのは民謡のような民族舞踏で、民族衣装を着ている人の数も多い。売 り物も洗練されたものより手作りの木彫りや刺繍が中心だ。

トラックにもタイ文字 そのなかにもアメリカ風のバーもあって大体ビール一杯が100B(300円)程度だ。い くぶん高いがこれは外人価格だろう。そういう店ではよくクラプトンの「アンプラ グド」がかかっていた。


ホステスが「知ってる店があるから」というのでそこまで歩きがてら屋台や夜店を 冷やかしていたら、軍のステッカーや刺繍を売っている露店にギターをもてあそん でいる少年がいた。


「あまりうまくないな」
「弾ける?」
「ああ、弾けるよ」
「聞かせてよ」
タカシは 早速その少年からギターを借りてきて私に渡した。いつものとおりBefore You Accuse Meを弾く。当時歌詞を覚えていたのはこの1曲だけなのだ。

この曲はいま言った「アンプラグド」に入っているもので聞き覚えがあったのだろ う。少年は大受けして「もっともっと」といい、タカシやホステスも「もっとやれ 」という顔をしているのだが、こちらには1曲しか持ち合わせがない。早々に返し て飲みに行くことにした。

ホテルの前のバーで 飲みにいったのはホステスとカラオケのある典型的な外人向けバー。ただしこのホ ステスはタカシとは昵懇らしく値段はそうボッている感じでもなかった。ボトルも 入れてかなり飲んで、一人600B(1800円)づつ払う。

タカシはミャンマーの話に興味を持つ。とくにドルとチャットの闇交換率について は「そーゆーの、行かないとわからないんですよねー」と注目する様子。タカシた ちはワンコムにふたりで700B(2100円)あまりで泊まっているらしい。


「私が聞いたいちばん安い部屋は944Bだったぞ」
「実はもっと安い部屋があるんですよ」
そうか。それはいいことを聞いた。

酔いが回るにつれホステスがタカシにべたべたするようになった。そろそろ切り上 げどきだ。ホステスは「私は身を売るようなことはしない」と言っていたのだが閉 店まぎわになって「1000B(3000円)出せば女の子が部屋に来るけどどう?」と言い 出す。自分は売らないけど友達は売る。けっこう調子のいい娘だ。


もちろんお断りする。ヲサム君の話によれば「チェンマイの売春婦のエイズ感染率 は94%、残りの6%は今日初めて店に出た娘」というのだから、危なくてしょう がない。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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