クロッカス
この季節にはベランダの花が少なくなる。花屋の前にはパンジーやビオラの鉢が飾ってあるが、今年は仕込み忘れたので手頃な花がない。
来客の折など小さな花を飾りたいのだが、何も咲いていない。仕方なく芽ばかりのクロッカスをテーブルに置くことにした。
三寸四方ほどの小鉢に水苔を入れてクロッカスの球根を入れてある。年末に神保町のタキイ種苗に行ったらもう芽が出かけている球根を安く売っていたので一袋買ったものだ。
最初は(たぶん倉庫の暗闇の中で伸びたのだろう)白く曲がりくねった姿だったが、日の当るところに数日置いていたら真直ぐになり、今ではその先端から可愛い緑の葉が出始めている。
小さな緑の芽というのは春を予感させてなかなか良いものである。愛でるという音と芽出るという音が同じなのは偶然ではないのかもしれない、などと思う。
クロッカスは寒い戸外に置かなければならない。「冷たくしないと咲かない」というところも、なんだかよろしい。
(2002年2月4日)
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