コリアンダー
週末になったので、カレーを作る。ここから先はさすがに単一スパイスというわけにはいかない。しかしあまりあれこれ入れたくない。実のところスパイスは多種を少しづつ使うほうが失敗は少ないのだが、いまは勉強中だからひとつひとつのスパイスの特徴を知りたいのである。
基本になるのは先日作ったカレーペーストで、これにはオニオン、トマト、クミン、油が入っている。これと混ぜ合わせるスパイスを準備する。コリアンダー粒を小匙数杯、それに赤唐辛子を十五本ほど切って種ごと。フライパンで軽く焙じ擂鉢で細かく擂る。コリアンダーの皮がぱちぱちと撥ねるので擂鉢の周りに紙の衝立を立てる。乾いた辛い香りが立ち始める。
今日使うのはコリアンダーの乾燥果実だ。コリアンダーシードは辛味は強烈でなく香りは甘い。噛むとかすかな旨味がある。火を通すと「とろみ」が出るのでカレーには必須だ。コリアンダーの生葉がパクチーである。実と葉ではかなり印象が違うスパイスだ。
少量の塩を加えてスパイスを擂り終わったら、さきほどのカレーペーストと混ぜて暖め、ターメリックを加える。具材としては今回はチキンを使った。腿肉に下味を付け、ニンニクと一緒に少しあぶってカレー鍋に入れる。
「カレーは煮込みではない」と言う人は多い。私もそう思う。鶏肉が骨から外れやすくなるくらい火が通れば十分だ。香り付けにガラムマサラを加え、カイエンペッパーとコーレーグース(シマトウガラシの泡盛漬)で辛味を整える。香辛料理に時間をかけ過ぎては香りの成分が飛んでしまう。
コリアンダーは聖書にも登場する古くからの食薬でヒポクラテスは健胃/催眠の作用をあげ、千夜一夜物語では媚薬/姦淫剤として語られている。実際にはそれほどの効果はない(あればよい)と思うが、果実にはいくらか消化剤の効果がある。
コリアンダーの挽きが荒いのでソースのときは皮が気になったが、飯にかけてしまえば少しもわからなくなった。トマトの酸味が爽やかである。このカレーを食べた翌日は身体の調子がいい。
(2001年7月30日)
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