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サラタビ八丈
２章：出航〜
その日は曇っていた。夜、10時半、船で出発。行きは船で八丈島を目指す。9時45分に船着場（東海汽船の乗り場）に集合。朝から今日は八丈島だと思うとボオぉっとして何も手につかない。ここ最近、この日が近づくにつれて自分が徐々に腑抜けになるのがわかる。島で海を見ながらボケーっとする事ばかり考えていた。
仕事も早々に切り上げ、リュックと食料を抱えて電車に乗る。向かうはサラリーマンの聖地、新橋。サラリーマンを少しばかり忘れるスタートの場所が新橋というのも面白いシチュエーションだ。
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新橋からゆりかもめにも乗って竹芝へ。9時半にもなるとゆりかもめに乗る人は少なく、むしろ、降りる人ばかり。いよいよ海の匂いがしてきた。
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待合場所には既にフジウラさんが待っていた。最近、メールでばかり会話していたためか、久しぶりである。そのフジウラさん、荷物が多いと見える。聞くと、ブータンに行った時より多いかもだとか。理由は・・・・・・酒である。
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夜行の船のため（夜は長い）宴会だ、という事で各々酒や食料を持参する事になったのである。しばらくして、コバヤシ夫妻も到着した。彼らもまた荷物が多い。コバヤシ夫妻はビール担当であった。嬉しいことに冷えている。荷物も多くなるはな・・・・。しかし、こんなに飲めるのだろうか・・・。
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しばらくした後、乗船の案内放送がなった。気になることは本日の航行は"条件付出航"だという事である。どういう意味なのかよくわからなかったが、心の片隅にそんな引っ掛かりを持ちながら乗船した。
それでも、ワタクシは船に乗って遠出する事は初めてという事もあり、ちょっとドキドキしており、そんな事はすぐに忘れてしまった。
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船内は思ったよりキレイ。我々の寝る2等船室は床に区切り線がひかれてあるだけのもの。ようは雑魚寝状態。
さすがに平日だけあって人は少ないようだ。周りを見渡すと釣り人と思しき人がチラホラト。そんな中、我々は早速一本目の出航記念ビールを開けた。
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人は少ないとはいえ、さすがに寝床でワイワイ酒盛りするのも・・、という事で、しかもせっかくの船という事もあり海を見ながらということにした。
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船は案外早く、水飛沫が飛んでくる。風も強く、船上は結構寒い。
ここから大都会、東京のシンボル、東京タワーが見える。こんな風に見るのも初めてである。
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何もかもが新鮮で、今まで経験しなかった事ばかりだ。楽しくなって、ワクワクしている自分がそこにいる。これもまた非日常を感じているということなのだろう。
船から見える東京タワーがだんだん遠くなるのと同じで、夕方まで仕事をしていたという自分、そして日常も同じように徐々に遠くなっていった。
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そんな中、大量の酒、つまみと共に初日の夜は過ぎていった。
皆、ワタクシと同じように心はずんでいた・・・・。
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