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昨日疲れて寝ている間にカブスが勝ったらしい。新聞スタンドでは「カブス95年ぶりにプレーオフ勝利」の記事が踊っている。
あのスポーツバーは大騒ぎだっただろう。行ってみたかった気もするが、あの様子では満員で入れなかっただろうなあ。
ブルースのCDを買う。「From Clarksdate」とか「Back to Memphis」とか、今回訪れる地名の入ったコンピュレーションに手が出る。
ゴスペルのCDは、迷ったのだけど買わなかった。たぶんCDで聴いても「違う」ような気がした。
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美術館に戻り、ヲサム君ダイスケ君と落ち合う。
美術館のすぐ前の店でビールを飲み、ホテルに帰る途中でネイヴィーショップに寄る。「OLD NAVY」というロゴの入っている海軍御用達の店で、服がみな安い。旅行中のパジャマパンツと靴下を買う。
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カウンターに行くと「Zipコードを教えて」と言われる。最初は何を言われたのかわからなかった。「日本から来たんだけど」「あら、じゃいいわ」「ネイヴィーかどうか知りたかったの?」「いや、いいの、ただの決まりだから」
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なんだかよくわからない。Zipコードは日本の郵便番号みたいなものだから、出身地別マーケティングでもしているんだろうか。
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さて。あとは出発時間を待つだけだ。「ピザを食べない?」「いいですね」
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ピザもまたシカゴの名物である。街を歩いてもイタリア系の店が多い。アルカポネもシシリア系だったしなあ。シナトラがシカゴの歌を好んで唄うのもイタリア系と関係あるのだろうか。
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昨日歩いていたときに、火事にあったように煉瓦壁が黒く煤けた店があった。「うちのピザは焼きが入ってます、ってか」「丸焼屋」と勝手に名づけたその店に行こうと思った。
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まだちょっと早いので隣のスポーツバーに入る。生ビールが16種類もあるのでうひひとうれしくなって次々に注文する。
ダイスケ君は「ジンジャーエル」
「IDカードを見せてください」
え?ジンジャーエールを飲むのにIDカードが必要なの?
「この店に入るのに必要なのよ」
大笑いだ。ダイスケ君はまたかよーとぶすっとしている。
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この店はえらく選曲がよくて、ちょっとオールディーズだが、気分のいい曲をかけている。テレビモニターが何台もあって、いくつかのスポーツ映像を同時に流している。今日は月曜で番組が薄いのか、ひとつはポーカー選手権の映像だった。
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トイレに行くときに見たら担当のウェイトレスがジュークボックスで選曲していた。
「君が曲を選んでるの?」
「そうよ。なにかリクエストある?」
「じゃCCRを」
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最初の予定ではピザは隣の店に行くつもりだったのだが、この店でピザを食べてしまった。でも、うまかった。
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外に出るともう暗い。そろそろ出発の時刻が近づいている。
ホテルの前のバス停に乙な広告があった。
「Keep Walking : Johnny Walker」
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日本でも同じコピーでビートたけしが出ていたジョニーウォーカーの広告だが、歩き続ける背景が相場グラフになっている。しかも大暴落だ。
「相場が迷走してもジョニーウォークし続けようぜ」。世界の穀物市況を支配している街の夜にぴったりのメッセージで、にんまりさせられた。
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