ふじうら旅日記

2日目 その3






周囲は黒人地区でちょっと不安だったが
教会のバスに乗せてもらってホテルに帰る。

教会の外へ出て「重かった...」などと感想を言いながら帰りのタクシーを捜す。黒人居住地だ。通りに数人がたむろしているとなんとなく不安で、ヲサム君が目を合わせないようにしているのがわかる。

ガソリンスタンドの係員も厳重な金網の中にいて、治安はあまり良くない様子。タクシーを呼んでくれそうもないのでいったん教会に戻ることにした。

先ほど入口を教えてくれた駐車場警備の老人に話をすると、教会のバスがダウンタウンまで乗せていくからちょっと待ってろ、という。秋の住宅地でしばらく佇むことになった。

幸い、ほどなくマイクロバスに乗ってホテルまで帰ることができた。一緒にバスに乗っていた年輩のおばちゃんが「ダウンタウンにはしばらく来てないわ」と話していたから、けっこう回り道をさせたのかもしれない。


教会もダウンタウンも空は同じ
一休みしてマーチャンダイズマーケットまで行ってみたところ、ビルの中はほとんど真っ暗。しかたがないのでマグニフィセント・マイルまで歩く。大方の通りはほんとうに閑散としているのに、ここだけは人混みだった。

通りをまっすぐミシガン湖まで行って、Drakeを回りこんで戻る。これがドレイクホテルかあ。貴族の城のようだ。

木々の向こうにミシガン湖の砂浜が見える。まったく「海」だなあ。
現代美術館に行くと「あと30分で閉館」というので、入場料10ドルのところ、なんとなく無料で入る。

「トクしたね」
「これで神のご加護も使い果たしたな」
「10ドルだけかい」
シカゴの街を行くヲサム君
チェスのルーク(城)の形をしたツーリストインフォメーションがあったので入る。カフェがあったので、コーヒーでも飲もうかと行ったら「もうCloseした」と言われて、「やっぱりもう神のご加護も残ってないな」

罰当たりなことを言いながらホテルに帰る。途中、スーパーマーケットで明日の車中用の酒を仕込む。その間ダイスケ君が表でタバコを喫っていたら「マリファナ要らないか」と声をかけられたそうだ。

気合を入れて食いに行ったのだが
やはりアメリカのステーキはでかい。

夕食どきになったのでハリーケリーズへ。スポーツバーのほうは今日も大盛況だ。カブスの試合が始まるまでNFLのベアーズの試合を見ているらしい。

バーは喧騒なのにレストランは落ちついていた。テーブル担当はたぶんイタリア人の小男。ヒットラーに扮したチャップリンみたいな顔をしていたけど、なかなか愛嬌もよく、ホスピタリティに満ち溢れていた。

現代美術館前の自転車置き場。なんとなくアート。
「今日はステーキを食うぞ」という気合でいった。

アメリカのステーキがばかでかいということは知っているので適当なサイズにしようと思っていたのだが、そのチャップリンに「きょうの肉はこれだ」と生肉を見せられると、どうもいちばんうまそうに見える肉がある。「これが今日のスペシャルでペッパーステーキ16オンスだ」

「じゃ、それ」と思わず注文する。ヲサム君もダイスケ君も同じものを注文する。「つけあわせは?」ポテトだのほうれん草だのそれぞれ注文した。
待っている間に隣の席の男に話しかけられた。カップルだ。「俺はマイアミの近くの○○という(聞き取れなかった)町から来た。○○を知ってるか」知らない。そもそも聞き取れないくらいだ。「マイアミの近くだ。お前たちは仕事か」いや遊びに来たんだ「そうか。楽しめ」あんまり英語が通じないのだが、とりあえず愛想がよい。なぜかマルディグラの首飾りを掛けていた。

ステーキが来た。でかい。やはり食いきれない。つけあわせなんてとんでもない。うーむ。私とダイスケ君は残したが、ヲサム君は気合で16オンスをたいらげた。偉い。しかし考えてみれば一皿か二皿頼んでシェアすればよかったのだ。なぜかステーキはシェアしにくい。なんでだろう?

うまい肉だったのに、もったいない。次の日にまた食べられるなら残りを食いたいくらいのステーキなんだけど。

小体なジャズクラブ。ここに行こうかと思っていたのだが。
1杯目に飲んだブラディマリーが案外美味く、これなら大丈夫かなと次に頼んだマティーニが、やはりアメリカのカクテルで水っぽくてそれなのにジンだけは大量に入っているというやつ。

これを飲んでいたらなんだか眠くなってしまった。後でジャズの店に行こうかなあ、などと思っていたのだが本日はこれまで。
「今回の旅は疲れそうだから、目一杯やらずに体力を温存したほうがいいですよ」とヲサム君が言っていたかと思うとすぐ寝てしまった。まだ日本の「お疲れモード」が続いているらしい。

ダイスケ君と深夜の散歩をする。
シカゴの夜も今宵限りだ。

夜中に目が醒めたらダイスケ君も起きていたので散歩に行く。4時から5時くらいまで歩いていたらだんだん街が起きてきた。バスも地下鉄も案外早くから動き始める。

途中、警官に道を聞かれた。あれはなんだったんだろう。道を聞くふりをした職務質問かなあ。

夜中の散歩
早起きのパン屋に入って林檎をひとつ買って、齧りながらホテルに戻った。さて、もう少し寝るか。





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