エリントンナンバーの中でもカバーされる率の高い歌。曲がDuke Ellington、詞はBob Russelです。その時代のシンガーでこの曲を残していないのはビリーホリディくらいじゃないかな。といっては言いすぎかもしれませんが、とにかく多くの人がこの曲を録音しています。
例によって主なカバーアーチストをABC順に並べると、Mose Allison,Louis Armstrong,Daniel Barenboim,Tony Benett,Ruth Brown,Dave Brubeck,Nat King Cole,Harry Connik Jr.,Dr.John,Ella Fitzgerald,Judy Garland,Ink Spots,Milt Jackson,Etta James,B.B.King,Roland Kirk,Michel Legrand,Paul MacCartney,Mills Brothers,Thelonious Monk,Joe Pass,Oscar Peterson,Frank Sinatra,Sonny Stitt,Mel Torme,McCoy Tyner,Sarah Vaughan,Joe Williams。
ジャズの人が多いですが、ブルースの人も多いですね。意外な感じがする人といえば、Paul MacCartneyがロシアのミュージシャンと録音した「CHOBA B CCCP」でのカバーでしょうか。Daniel Barenboimの名前が入っているのはクラシックの音楽家がエリントンナンバーを演奏した企画物です。
私の愛聴盤はJoe Williams。それからGatemouth Brownの「American Music Texas Style(写真)」、最近のものではDr.Johnが「Ellegant Duke」で発表したバージョンを心のよりどころにしています。
「get around」。単純な言葉ですね。こういうのが案外訳しにくい。辞書にもいくつも意味が載っています。
1.歩き回る 2.噂が広まる 3.圧倒する 4.だます 5.へつらう 6.うまく避ける
なんですかこれは。「圧倒する」と「へつらう」じゃまるで反対じゃないですか。
私は歌詞の全体から「噂が広まる」を採用しました。つまりDon't Get Around Much Anymoreを「これ以上の噂を広めないでくれ」と解したわけです。これで合っているのかもしれないし、まるで取り違えているのかもしれません。詳しい方はぜひお教えくださいね。
そういう解釈に基づいて歌詞を訳します。設定としては、彼女と別れたばかりの男がいる。遊びに行きたいんだけど、クラブに行ってもみんな「どうしたんだ」と聞くから煩わしくてしょうがない。もう噂はよしてくれ。という、アメリカの田舎町の白人社会みたいな歌だと思います。感じとしては「Back to the Future」のパーティに一人で行った男の気持ち、といったところでしょうか。
でもなんでそんな歌をみんながやりたがるのでしょう?青春のなにかの記憶を思い出させる歌なのかもしれません。
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