B.B.キングとクラプトンが共演したアルバム「Rinding with the King」でこの曲を取り上げたときは、ちょっと驚きました。
ジャズの世界では超有名曲ですが、ブルースの人はほとんど誰も録音を残していません。B.B.キングは99年のアルバム「Let the Good Time Roll」では全曲ジャンプのルイスジョーダンのカバーをしましたし、このところ積極的にジャズやジャンプの曲を取り上げているようです。
ジャズマンでこの曲をやらなかった人はあまりいないんじゃないでしょうか。資料で見る限りパーカーやモンクなどビバッププレイヤーの演奏は残っていないようではありますが、フレディハバードは「Blues for Miles」というアルバムの中でこの曲を演っていますから、ステージで演奏した可能性はあるかと思います。
この曲をカバーした演奏家の名前を挙げてもきりがないのですが、目立つものだけでも書いておくと、
Chet Baker,Count Basie,Tony Benett, Art Blakey,Walker Brothers,Clifford Brown,Kenny Burrell,Ray Charles,John Coltrane,Chick Corea,Duke Ellington,Bill Evans,Four Freshmen,Judy Garland,Billie Holiday,Keith Jarrett,Al Jarreau,Dr.John,Wynton Kelly,Lee Konitz,Liza Minnelli,Wes Montgomery,Joe Pass,Art Pepper,Oscar Peterson,Andre Previn,Return To Forever,Joe Sample,Frank Sinatra,Joe Williams...
ほんとうにきりがありません。
エリントンとベイシーがともにカバーしていること、チックコリア/リターントゥフォーエバーとかジョーサンプルとか比較的モダンなスタイルのピアニストにもとりあげられていること。この曲が時代を超えて多くの人に好まれていることがわかります。
個人的に好きなのは、シナトラの「DUET」とソニースティットの「Pen of Quincy」での演奏です。
この曲の歌詞は「雨が降っても天気の日でも、金があってもなくても一緒にいようね」という、結婚式の宣誓のようなものです。なんだか大甘で、愛する二人のデュエットソングという気がします。クラプトンとB.B.キングのデュエットはそういう意味では「なんかちょっとキモチワルイ」感じもあります。
とはいえよく見ると甘いばかりでもない曲です。自然に鼻歌で唄えそうなメロディですが、実はちょっと凝っていて、FではじまってD7で終わります。それが不自然でないところが作者の腕なんでしょう。見えないところでモダン、という粋な楽曲です。
作ったのはハロルドアーレンとジョニーマーサー。「One for my Baby (and One More for the Road)」と同じ組み合わせです。アメリカ大衆音楽史上最高のコンビのひとつだと思います。
FGODでどういうふうに取り上げるかはまだ決めていません。夏合宿の間に試してみて、うまくいったら秋のステージに乗せようかな、と思っています。 〈2000年7月 記)
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