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観光客向きの店でガドガドを食べ、
店長に「ディスコで楽しめ!」と勧められる。

夕食は、きのうすすめられたWINACAFEに行くことにした。Cartaホテルの隣である。奥まった店内はインドネシアの民芸品で溢れていていかにも観光客向き。

表には「バス予約」「トラベルインフォメーション」の文字が英語で書かれている。ガイドやチケット手配のサービスもしているらしい。若い店長で英語が通じる。

「ガドガドをくれ」
「ピーナッツソースがないんだ」
「あ、そう」
「ちょっと待て。買ってくる」

店長は近所にピーナツソースを買いに行き、ガドガドを作ってくれた。美味い。後から来た男性客二人がビンタンとギネスを頼む。インドネシア人が人前で酒を飲んでいるのを見るのは初めてだ。



さて飯も食ったし、どうしよう。きのうのジョニーとの約束を守ってニルヴァーナに行くのも手だが。
この店の店長に聞いてみる。

「どのDISCOがベストか?」
「こっちへこい」
と地図を書いてくれた。さっきのBATIK屋「Danadi」の近くのようだ。

「Legendがベストだ。楽しめ。」
ほいほい。楽しめ、ね。インドネシアのディスコの楽しみっていうのがどんなものかはよくわからないんだけど。


「Lonely Planet」というガイドブックがある。アメリカ版の「地球の歩き方」といったところだ。このWINA CAFEはいかにもそういうガイドブックに乗っていそうな「現地の匂いがして英語が使える、観光客対応店」である。

何の気なしに「この店がLonely Planetに載る日も近いだろうな」と愛想を言ったら、思いがけず強い調子で「なぜお前はそう言えるのか」という返事が返ってきた。
この店長にとっては冗談事ではすまされない、真剣な話題だったらしい。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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