小山の上まで行くと土の道路が終わり、石が敷かれていた。 道の脇にも低い城壁のようなものが張り巡らされ、古代の城郭に入り込んだことが知れる。人々も汗を拭き、これまでの山歩きとは違うやや敬虔な面持ちになる。 |
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山城のどこかを工事しているらしく煉瓦の包みを頭に乗せた女性たちが歩いていく。 |
山の起伏に添いながら城郭はゆるやかに登っていく。途中、崖にぶらさがるような岩があった。「これか?」とじっと見たがどうもそうではないらしい。しかしその岩の頂上にも小さな建造物がある。本物を作る前に習作として作ってみたものか。 その小さな岩の前にも祭壇があって線香が供えられていた。 |
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一段、高く平たい場所へ出た。人々は靴を脱いで荷物に収めている。いよいよ本殿に近づいたようだ。床はタイルのようなきれいな色石で敷いてある。その上に登ると思いがけず近くに黄金の岩が見えた。 |
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「これを人間が作ったのか、、」 |
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近寄ってよく見るにつけ、ますます不思議なものとしか言いようがない。山の斜面の途中に巨岩がひっかかり、いまにもずり落ちそうにしている。その岩は黄金に塗られ、頂上に高さ2メートルほどの仏塔が建っている。 |
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岩の大きさは、大型ダンプを直立させたくらいか。ビルほど巨大でないが、4階建ての建物くらいはある。それが斜面の途中に不安定に立っているのである。 |
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よく見ると岩の足元は斜面とは別の場所にある。ちょうど島のように斜面から少し離れたところに足場となる巨石があって、岩はその上に立っている。そして山の斜面からその巨石までは橋が架かっている。 人々はその橋を渡って巨石へ渡り、そして黄金の岩に額づく。 |
「この橋を渡っていいのは男だけ」キンが言った。 「女は黄金の岩に触ってはならない」 「どうしてだ?触ったらどうなる」私が聞く。 「岩が落ちる」 |
岩が落ちると言われてはこっそり橋を渡って触りに行くわけにもいくまい。女性もたくさん参拝に来ているのだが皆おとなしく橋の手前から黄金の岩と仏塔に参拝している。 |
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