Chiang Mai
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旅の初心者二人を連れてゲストハウスに行く。
了見の狭い主人が経営する、関西弁の飛び交う宿だ。

「チェンマイ市街は空港から離れているらしいよ。空港から市街へ行く方法は考え ているの?」
「えー、そうなんですかー。どうしよー」

「私はホテルのバスで市街まで行くから、それに一緒に乗っていけば?」
「えー、そんなことできるんですかー」
「いいんじゃないの。とりあえず私は予約してるから」

というわけでこの娘たちと一緒にチェンマイ空港からメイピンホテル行きのマイクロバスに乗ることになった 。

「この人たちは?」
「連れです。ホテルを見て気に入ったら泊まるから」
と言ってホテルまで行き、「気に入らなかったようだ」と逃がしてしまう。

次は彼女たちの泊まり先を探す番である。

この娘たちはチェンマイのまともな地図さえ持っていない。持っているのは地球の歩き方1 冊でそこに行き先のゲストハウスの周辺地図があった。見ると城壁の内側でメイピ ンからは2キロほどだ。

彼女たちだけでは心もとないし、チェンマイの基本地形を知ることにもなるからそ こまで送っていくことにした。チェンマイのゲストハウスがどんなものだかにも興 味がある。


トゥクトゥク(遊園地の乗り物のような小形の三輪タクシー)に乗って城壁まで行 く。ほどなく目的のゲストハウス「BANANA」は見つかった。

BANANAのオヤジに二人を渡す。この男の奥さんのKOZUE さんは大阪出身で、そのた めこのゲストハウスには日本客が多い。ロビーには関西弁が飛びかっていた。

オヤジの名はSOMBAT 。「お前は泊まらないのか」「私は別にホテルを取っている」 「どこに泊まっているのだ」「メイピン」「メイピンは安い。こっちは高い」と厭 味を言う。案外気の小さい男である。

ソムバットと「昨日までミャンマーにいたのだがあっちはこうだった」と世間話を していたらロビーにいた若者から英語で話しかけられた。私のことをミャンマー人 と間違えたらしい。

堀端での午睡 送っていった女の子ふたりはエリとマミホという名前だった。彼女たちと晩飯を食 べる約束をしてメイピンに帰る。

帰りは歩きなのでメイピンから城壁までの地形は だいたい把握できた。チェンマイは城壁都市で旧市街は城壁の内側にある。城壁の 回りは堀になっていて、その外周に道路がある。

東京の方には「皇居の内側に市街があり、お堀の回りに環状道路がある」というのを想像してもらえば、おおかた似たような地形だろう。

メイピンホテルのあるのは銀座あたりということになる。旧市街から少し離れているが、歩けない距離ではない。



c 1998 Keiichiro Fujiura


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