|
汗まみれなので、近くを流れる川に水浴に行く。この川はチウジュン川というらしい。川幅15メートルくらい。上流にしては濁った水だが、なかなかよい流れである。 |
|
バドゥイの村には風呂がない。便所もない。水道もない。すべてこの川である。いちおう男便所、女便所、風呂の場所、は決まっているようだが、同じ川だ。ただし食器を洗う水はこの川ではない。それは山から竹筒で水を引いて使っている。 |
|
水浴の場所は、山奥に行くときに渡った竹の橋の真下だ。男が橋の上流、女が橋の下流と決まっているらしい。 サンダルがないので川までは裸足で行く。石がごろごろしているので、「痛てて」「痛てて」と足をぴょんぴょんさせながら歩く。情けない。バドゥイの村にあるまじき姿である。 |
|
風呂場にあたる場所へ行くと大きな岩があって、そこに着ているものを置く。もちろん素っ裸である。文明人にとってはちょっと気恥ずかしいのだが、いったん泥水の流れに入ってしまうとこれが快感になる。 |
|
私は田舎育ちなので川遊びには慣れているつもりなのだが、泳ぐのとはまた気分が違うのだ。思ったより川は浅く、底は荒い砂、ところどころに岩がある。流れが速く水量もあるので、身体が水に押される。水底の岩を下流側にして身体をあずけると水の力でその岩に押しつけられ安定する。あるいは比較的流れが緩やかなところを選ぶ。 |
|
なんとか落ち着いた場所を選んで流れに身をまかせていると、向こうの岸辺を蛍が飛んでいた。なんとも良い気分である。 |
| |
|
|
|