明治神宮
代々木に住む喜びのひとつは緑が多いことだ。その中でも最大のものは明治神宮である。休日の朝早く明治神宮まで行くとそこだけ空気が澄んでいるように感じられる。正月の印象が強いので明治神宮は夜通し開いているように思われる人も多いだろうが、実は開門と閉門の時間が決まっている。朝はおおむね5時に開く。「5時40分」という表示も見たことがあるから、季節によって多少開門時間が異なるのかもしれない。
ともあれ早朝に行くと、そこは「古き良き日本」だ。落ち葉を掃く人、塗り板を掃除する人、宮司さん、皆すれ違う毎に「おはようございます」と挨拶をしてくれる。いまの東京でこれだけ挨拶をされるところも珍しい。最初はとまどうが、すぐに慣れるだろう。そのうちこちらからも挨拶をするようになる。
それから数時間経った午後に行くと、その静かな様子はどこにもない。スピーカーがガーガ−鳴って「ゴミを捨てるな」とか「樹木を持ちかえってはいけない」とかアナウンスしている。神社に勤める人も早朝の愛想の良さのかけらもなくぶすっとしている。
開門直後は空気も青く境内はシンとしているが、地面が温まりはじめる頃には客も多くなり、参宮橋あたりの住宅から原宿駅まで歩くらしい、ビジネス靴で急ぎ足という姿もよく見かけるようになる。
よく代々木の杜(もり)と書かれる。「森」と書くよりも厳かな感じがする。樹々の間を抜ける道を歩いていくと,地面に白く鳥の糞が固まっている。頭上の枝に鳥の巣があるのだろう。それを探すうちに大きな蜘蛛の巣を見かけるのも、近頃ではここくらいになってしまった。
(2001年6月27日)
付記:社務所に問い合わせたところ「日没から日の出まで閉門」という答えでした。なるほどね。時刻で言うのが野暮だったんだな。反省しました
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